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by rakudazou

遠い友の訃報    中村 陽子

北の便り
 北海道二海郡八雲町に住む、愛称、まいたけ君は、自分のホームページの中でもまいたけだらけ・・・超重症の筋ジストロフィーの障碍を持つアポロ号と自ら名づけた電動車イスに身体の調子が良い時には乗って院内を散歩をしたり、小さな変化を知らせてきます。
 今から1年半近く前になりますが、訪問ドクターも参加される川崎の教会のイベントに招待されて、電車で出かけた折に駅まで迎えに来てくれた女性がまいたけ君の彼女です。会うなり「私の彼は筋ジストロフィーです。これから、結婚するのよ」と彼女は蒸気して明るく話していましたので、私の印象の中にはその頃には、健康な女性がそのように現実を受け止めてお互いに幸せになることは、とてもよいことだとその時には受け止めていました。それから、間もなく、東京生まれの彼女は希望を抱いて、まいたけ君が住む近くの五稜郭と海の匂いのする函館に引越し行きました。

 私の来てくださる訪問ドクターは、呼吸器科専門医で何度も、まいたけ君の生活する国立八雲病院の筋ジストロフィー棟に応援で出かけて折り、訪問の時に勇気を出してまいたけ君の状態について聞きました。「とても結婚出来る身体ではないのよ。八雲にいて完全管理の基で生活しているから生きていられるのですよ」と云われてしまいました。もう、以前にイロウを付けて、人口呼吸器の力を借りて食べ物も管からイロウに直接に流しているということでした。

 どのような重症の人でも「人を愛する」ことは大切な事だと思いますし、まいたけ君はいろんな食べ物の味を舌に少しだけ乗せてもらって「今日のイチゴの味は美味しかったよ」と逞しく生きて、昨年は家族と彼女と共に数回の外泊も実現できて「本当によかつた」と思っていました。
下記のは、まいたけ君からのメールの一部です。

この頃は地震が多くて嫌ですよね。
数日前の地震では僕のいるところも揺れたのですが、知らずに寝ていました。
震度2くらいだったようですが、いつ大きな地震があるかわからないと思うと怖いですよね。
僕は人工呼吸器を使っているので地震で停電になってしまうのが心配ですよ。
八雲は秋風ですよ。
手足はすぐ冷えてしまう僕では今月くらいかなと思っていましたよ。

自殺は日本の社会問題ですよね。
どの年齢にあっても辛さがあってそこか逃げようとしているのでしょうが、自殺は逃げになりませんよね。

僕の病院でも悩みを持っている人がたくさんいます。
筋ジストロフィーも医療の発展によって延命されるようになりましが、精神的な面のケアにも取り組んでもらえると良いのですが、そこまで手が回らないのが現状ですね。
もっと人との関わりがあればいいかと思うのですが。

僕がかかっている型は筋ジストロフィーの中でも短命で、僕のように長く生きているは医学的に珍しいそうです。
40歳ころまで生存する例も増えていますが、医療的には未知領域で手探りの治療になっているとのこと。
僕も心臓だけではなく、内臓の全てにおいて悪くなっていますが、薬でごまがしているような程度で、ドクターに言わせると「いつどうなるかわからない爆弾を抱えているようなもの」なんだそうです。

それでも今日まで暮らせているのは、人との関わりがあるからだと思うんです。
野菜作りでも手をかけ愛情を込めて育てると生き生きとした美味しいものになるそうです。
人もいろんな人と関わり合って支え合って、愛情というものを感じているからこそ生きているものだと思うんです。
ですから僕はみなさんに生かされているのかなと、感謝の気持ちになりますよ。

 今年になり、めっきりとメールが少なくなり心配していました。寒い冬には苦手のまいたけ君、きっと春と共に元気になってくれると思っていました。
昨日、訪問ドクターが訪れて、まいたけ君の「死」を知りました。2月14日のバレンタイデーの日に、まいたけ君は天国に旅立ちました。彼女はどんな思いでいるでしょう。愛する人を残して先に逝くまいたけ君の気持ちを考えると胸が切なくなります。
医寮の進歩と延命措置で36年間の生命でした。本当に苦しい事もあったでしようが、よく頑張りましたね。以前は20歳を迎える事なく亡くなるという難病ですが、まいたけ君が生命の運命と精神的なケアが追いつかない、という内容が強く心に残っています。d0019913_2231125.gif
 まいたけ君、もう、お水も食べ物もお腹いっぱいに食べられ、自由に歩けるようになりましたね。ご冥福を心から祈っています。
まいたけ君が頑張って存在していた事をみんなに知ってほしかったのです。
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by rakudazou | 2009-03-25 22:34 | 《エッセイ》中村陽子